ミナミヌマエビは「コケ取り生体」として人気があり、繁殖も容易なことから、アクアリウム初心者にもよく選ばれます。特に同じくコケ取りで有名なヤマトヌマエビと比べて、小型でカラバリも豊富、可愛らしい見た目もあり、導入しやすい存在です。
ですが、ミナミヌマエビはコケ取り要員としてはおすすめできません。
この記事では、実体験をもとにその理由と、トラブルがあった場合の対策まで詳しく紹介します。
本記事はあくまでも、ミナミヌマエビの水草水槽における働きという点で評価しています。ミナミヌマエビに対して辛辣なこともお伝えしますが、生体としての魅力や奥深さとは一旦分けて、水槽内での役割について考えてみます。
なぜミナミヌマエビはコケ取りに向かないのか?

1. コケ取り能力が低い
ミナミヌマエビは体が小さく、1匹あたりのコケ除去能力が非常に低いです。目安として、ヤマトヌマエビの約5分の1程度しか働いてくれません。
たとえば、60cm水槽であれば、ヤマトヌマエビなら5〜6匹で目に見えてコケが減りますが、ミナミだと20〜30匹は必要になります。コスパは非常によろしくないです。
2. 増えすぎてしまう
ミナミヌマエビは繁殖力がとても強く、放っておくとあっという間に数が増えます。最初は稚エビの姿に癒されても、次第に「エビだらけ…」と嫌悪感を覚える人もいるかもしれません。
外部フィルターの中で繁殖した例もあります。
筆者水槽では、浮草(アマゾンフロッグピット)の根に隠れて大繁殖し、見た目も雑然とした印象になりました。
試しに夜に照明をつけると、驚いたエビたちが2〜30匹、浮草から降臨しますw。
3. 水質悪化のリスクが高まる
最大の問題は、水槽のバランスが崩れることです。
ミナミヌマエビが増えすぎると、以下のような影響が出てきます:
- 酸素の消費量が増える
- 排泄物が増えてアンモニア濃度が上昇
- 死骸に気づきにくく、腐敗で水質がさらに悪化
死骸により水質が酸性に傾くことで、さらにエビにとって悪い環境になります。連鎖的にエビが死亡し、最悪の場合「魚が次々と死んでいく」状態になります。
ミナミヌマエビが原因で水質が悪化したときの対処法
もし水槽に異常を感じたら、以下のステップでリカバリーを試みてください。
- 水を半分ほど交換する
通常より多めの水換えで、有害物質を一気に排出。 - フィルターを掃除する
目詰まりや汚れを取り除き、ろ過性能を回復させます。 - フンや残餌などの物理ゴミを吸い出す
ホースなどで底床のゴミを丁寧に除去しましょう。
これらを行うことで、水質は安定に向かうはずです。
リカバリーの便利グッズ
補助的に使うと便利なグッズをご紹介します。
- 牡蠣殻
水が酸性になるとアルカリ成分が溶け出し、強酸性になるのを防ぐ。フィルターの濾過槽に入れて使います。 - 活性炭
アンモニアなどの毒素を吸着する。 - バクテリア剤
毒素を分解する。長期的には生存しないバクテリアだが、応急処置後の速やかなリカバリーが期待できる。
それでも飼いたい?増えすぎを防ぐ方法
「すでに入れてしまった」「やっぱり可愛いから飼いたい」
そんな方は、以下の工夫で“爆殖”を防ぎましょう。
■ 隠れ家を減らす
浮草は根がエビの隠れ家になるため、できるだけ除去。
密生した水草や流木なども見直しましょう。
■ コケを発生させない
ミナミヌマエビはコケをエサにします。
そもそもコケが増えなければ、繁殖スピードにもブレーキがかかります。
■ ヤマトヌマエビを導入する
ヤマトヌマエビはミナミよりもコケ取り能力が高く、食べ残しを処理してくれることで水質も安定しやすくなります。パワーバランスの調整にも効果的です。
まとめ|ミナミヌマエビは「癒し枠」、コケ取りには不向き!
ミナミヌマエビは確かに可愛らしく、繁殖の楽しみもある生体ですが、「コケ取り要員」としての役割には向いていません。
- コケ除去力が低い
- 繁殖しすぎる
- 水質悪化の原因になる可能性がある
導入する際は、あくまで「観賞用」と割り切ることをおすすめします。
本気でコケ対策をしたいなら、やはりヤマトヌマエビや他の対策と併用しましょう。
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