アクアリウムにおける「低床」とは、水槽の底に敷く砂や砂利のことを言います
ほとんどの水槽には、この低床が敷かれています
低床があることでなんとなく自然っぽさが出て、「魚を飼育してる」っていう感じがありますね
ですが「なんとなく」ではなく、ちゃんと自然環境に近づきます。そしてメリットがたくさんあります
この記事では、アクアリウム初心者にこそ知ってもらいたい、低床の効果やメリットをご紹介します
低床を敷く7つのメリット
低床を使うことで以下のようなメリットがあります
- 魚が落ち着く
- 微生物が生息できる
- 水草が根を張る
- 水質を調整できる
- 照明の光の照り返しを防ぐ
- レイアウトの土台となる
- 演出効果
一つずつ解説します!
①魚が落ち着く
一番はこれだと思います。自然環境により近くなるため、魚のストレスの低減につながります
魚によっては、周りの環境に擬態(とまではいかなくても)し、体色が少し変化する種類もあります
その場合、生息地の環境に近くなる低床選びが大切です。敵から身を隠すことでより安心し、本来の美しい姿を見せてくれます
②微生物が生息できる
低床にはバクテリアをはじめとした様々な微生物が生息します
バクテリアは水を浄化し、他の微生物たちの排泄物を分解、水草の養分となります
アクアリウムではこの微生物が水質をキープするカギになります
食物連鎖の過程で発生した、少し大きい微生物は稚魚や魚の良い餌になることもあります
③水草が根を張る
低床は水草が根を張ることができ、定着してして成長することができます
ソイルに限らず、ほとんどの低床に根を張ります。
低床が無い場所には水草は定着できません。水草を育てるなら低床が必要です
④水質を調整できる
低床は水質に影響します
例えば、
- 天然の土由来のもの→酸性寄り
- ミネラル成分が溶け出す石や、貝を含む砂利や砂→アルカリ寄り
- 無機物であるセラミック→変化なし
といったように水質が傾きます
飼育する生き物が好む水質になるような低床を選ぶことで、生き物に適した環境を作ることができます
⑤照明の光の照り返しを防ぐ
水槽の底面で照明の光が反射するのを防ぎます。魚にとって、天地を感じるのに役立つと考えられ、ストレスの低減に繋がります
特に屋外でビオトープや水蓮鉢で飼育する場合は、太陽光による水温上昇を抑えることができ、夏場は低床が必須となります
⑥レイアウトの土台となる
低床があることで、その上に置いた石や流木が安定します
低床は地面の代わりになるので、地面がないと不自然です
⑦演出効果
低床の色・質感・粒の大きさによってレイアウトを演出できます
明るい色の砂で「道」を表現したり、粒サイズの異なる石で遠近感や自然感を表現するといった使い分けも可能です
低床を使わないと?
低床を一切使用しない、「ベアタンク」という飼育スタイルもあります
低床は水を浄化したり水質を調整するのに役立ちますが、反面、何かのバランスが崩れると水質が変わってしまうというリスクもあります
ベアタンク水槽は不確定要素が少ない分、水質管理に徹底できるというメリットがあります
フンなどの汚れも速やかに除去できます
アロワナやディスカス等、比較的大型の生き物や、水質に敏感な魚の飼育に用いられます
低床の種類
低床には以下のような種類があります
- 砂利
- ソイル
- 砂
- セラミック
- 土(赤玉土)
簡単に解説します
砂利
細かい粒の石の低床です。低価格でどこでも手に入ります。金魚やメダカ水槽で見たことがあるのでは無いでしょうか?
石から溶け出すミネラル分によって、水質がアルカリ性に傾きやすいというデメリットがあります。また、貝殻が含まれている砂利はさらにアルカリ性にしてしまうので、弱酸性を好む魚の飼育には不向きです
酸処理(強酸性の薬液に浸けて、ミネラル成分を抜く)をすることで、アルカリ性に寄ることを防ぐことができます
繰り返し使えるので経済的。特に長年使用し、ミネラルが抜けたものは財産と言われるほど一部では人気の低床です
ソイル
土を焼き固めたものです。天然由来の栄養分を含むものもあり、水草育成に最適と言われています
多孔質でバクテリアも定着しやすく、アルカリ性に寄せる物質の一部を吸着するので、弱酸性の水質を保つのにも最適です
砂
より目の細かい天然砂の低床です
明るい色の製品が多く、水槽がパッと明るい印象になります
砂に潜る習性のある魚や、砂を口に入れるコリドラスなどの飼育にも向いています
低床としても使用できますが、「化粧砂」といって、レイアウトの一部分に演出として使用することもあります
セラミック
無機物を焼き固めたものです。水質への影響はほとんどありません
色の種類が豊富だったりします
崩れることは少なく、砂利のように半永久的に使えるのが特徴です
土(赤玉土)
園芸用の赤玉土です。ホームセンターで安く大量に手に入ります
有機物を含みやすく、生き物の飼育には向いていますがデメリットも多いためアクアリウムではあまり使用されません
デメリットは、
- 土が舞っていつまでも濁りが落ち着かない
- 低床の掃除ができない
- 土がフィルターに吸い込まれる
- 止水域が多くなる
といったところです。デメリットが気にならないケースとして、ビオトープや水草の水上草育成でよく使用されます
まとめ
低床を使用するメリットや、低床の種類についてお話ししました
低床の種類ごとの特性を知っていれば、アクアリウムの目的に合わせた低床選びはそれほど難しくありません
そうして予想通り、良好な環境を構築できれば嬉しいものです
低床を使用する理由、低床選びの参考になれば幸いです!
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