「水槽に水を入れる前にカルキ抜きをする」
アクアリウム初心者の方でも、子供のころに水性生物を飼ったことのある人なら、なんとなくご存じではないでしょうか?
でもこれは本当に必要なの?
今回はこのカルキ抜きについて、掘り下げていきたいと思います。
本記事では、
- カルキ抜きの方法や所要時間
- カルキ抜きをするべき理由
- おすすめのカルキ抜き剤
についてお話ししています!
カルキ(=塩素)には殺菌作用がある
そもそもカルキとは?
カルキとは塩素のことです。塩素には殺菌作用があります。
私たちがふだん飲んでいる水道水にはこの塩素が含まれていて、その殺菌作用により安全な水として利用できるのです。
海外の水道水なんかだと病原菌が含まれていたりして、飲んだり口をゆすいだりしただけで腹を壊すことがあります。
日本の水は世界的に見ても安全と言われています。ありがたいことですね。
カルキ抜きをしないと水槽環境が崩れる恐れがある
カルキには殺菌作用があるので、魚やエビに少なからずダメージがあるのは予想がつくと思います。
ですが、それ以上にバクテリアへのダメージが深刻です。
バクテリアによって水が浄化され、水草が吸収しやすい栄養を作ってくれますが、このバクテリアがカルキによって激減すると水槽全体のバランスを崩す恐れがあります。
ですので、水道水から塩素を除去する「カルキ抜き」という作業が必要なのです。
カルキ抜きの5つの方法
カルキ抜きの方法はいくつかあります。
簡単なものから順に上げていきますね。
それぞれご説明します。
カルキ抜き剤(液体タイプ)を使う
アクアリウム専用のカルキ抜き剤として売られている、液体タイプの薬をつかう方法です。
コスパがよく、ほとんどのアクアリストがこの方法ではないでしょうか。
適量の表記がない製品もありますが、少量でしっかり作用しますので、キャップ半分も入れればじゅうぶんかと思います。
液体カルキ抜き剤には、中和剤の他に、魚のエラを保護するといったトリートメント成分が含まれるものも多いです。
カルキ抜き剤(固形タイプ)を使う
ハイポと呼ばれる、固形のカルキ抜き剤を使用します。
子供のころに見たことはありませんか?氷砂糖のようなあれです。
ハイポの量ですがかなり少量でOKで、水10リットルに対してハイポ1粒でじゅうぶんです。
反応の際にごく微量な塩、硫酸、塩酸が発生しますが、生物にとって気にするレベルではないでしょう。
汲み置きする
野外で汲み置きすることでもカルキ抜きができます。
道具を必要とせずナチュラルな方法ですが、急な水換えに対応できないといったデメリットがあります。
時期によっては汲み置き中に虫が入ることも。魚のエサになるでしょうが、外のものはどんな影響があるかわからないので入れないようにしましょう。
煮沸する
煮沸は、一般的に知られている塩素除去の方法です。
飲み水を作る際にはいいですが、アクアリウムの場合は10リットルとかの水を使うのでなかなか大変な作業ですね。
沸騰してから冷やすまで時間もかかりますし、湯を沸かすだけのガス代もかかります。
あえて選ぶ方法ではないです。
浄水器を使う
水道水をアクアリウム専用の浄水器にかけることで、すぐに飼育水として利用できます。
流し台からパイプやコックをうまく使って浄水器と連結させれば、非常に簡単に水換えができるでしょう。
新水掛け流しという濾過方法も実現できるかもしれません。
浄水器そのものの値段が高く、カートリッジ交換などのランニングコストもかかります。
ビタミンCと反応させる
ビタミンCの粉末やレモン果汁を使って塩素を中和することも可能です。
ただしレモン果汁はpH2の酸性で、水槽環境への影響は少なからずあります。
飲食店でピッチャーにレモンが入ってたりするのは、カルキ臭を消すためだったのですね。
液体のカルキ抜きが優秀
カルキ抜きの方法はいくつかあると述べましたが、
やはりアクアリウム用のカルキ抜き剤を使用するのが簡単でおすすめです。
なかでも液体タイプは短時間で手軽にカルキ抜きが完了するため、多くのアクアリストが採用しています。
強いてデメリットを挙げるとするなら、保管の際に液だれしやすいということくらい。
固形タイプ(ハイポ)に慣れている人はそちらもいいかもしれません。
塩素がバクテリアに与えるダメージ
先ほど少しだけ触れましたが、水道水に含まれる塩素には殺菌作用があり、カルキ抜きをしない水はバクテリアにダメージを与えます。では、具体的にどのような影響があるのでしょうか?
アクアリウムで重要とされるバクテリアは、
- ニトロソモナス群
- ニトロバクター群
の2種類。ニトロソモナス群は有害なアンモニアを比較的無害な亜硝酸塩に変え、ニトロバクター群は亜硝酸塩をさらに毒性の低い硝酸塩に変えます。このようなプロセスで水が浄化されてゆくのですが、水道水に含まれる塩素は、ニトロバクター群を死滅させる作用があります。
そうなるとせっかく出来上がった生物ろ過が作用しなくなってしまうので、カルキ抜きしていない水を水槽に入れたり、ろ材を洗ったりするのはやめましょう!
まとめ
水草水槽をやるうえで、カルキ抜きは必要です。
その理由は観賞魚はもちろん、バクテリアを守って水槽環境を壊さないためでした。
カルキ(=塩素)を除去するはいくつかありますが、なんだかんだ言ってアクアリウム用のカルキ抜き剤を使うのが簡単です。
その中でも液体タイプが反応が早く、使いやすいのではないでしょうか?
トラブルで至急に水換えが必要な場合など、悠長に待ってられないこともあります。
アクアリストなら常備して損はないと思いますよ!
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