ミナミヌマエビもコケ取り生体として知られていますが、ヤマトヌマエビとは体格も生態も違います。それを踏まえて、水槽に対してのミナミヌマエビの適正数はどれくらいでしょうか?本記事では、ミナミヌマエビの適正数の考え方や、ミナミヌマエビならではの特徴を活かした導入方法についてお話ししていきます。
そもそもミナミヌマエビとは?
ミナミヌマエビは日本にも生息する淡水のエビです。水草水槽だけでなくメダカのビオトープのタンクメイトとしても親しまれ、大変人気の可愛らしいエビです。
ヤマトヌマエビと比較すると体が小さいのは一目瞭然ですが、それ以外にも繁殖のしやすさに違いがあります。ミナミヌマエビは淡水で繁殖でき、水槽内でも自然繁殖します。一方のヤマトヌマエビは汽水域が必要なために水槽内での繁殖は難しいとされています。
そんな特徴からミナミヌマエビは品種改良も盛んで、さまざまなカラーバリエーションが楽しめるのも特徴です。
コケ取り能力について
ミナミヌマエビはヤマトヌマエビと比べて体が小さく、コケ取りの能力で劣ります。私の見解では、ミナミヌマエビ5匹に対してヤマトヌマエビ(オス)1匹、くらいのコケ取り能力です。
それでも、ちゃんと掃除はしてくれます(笑)。体格差があるので一度に取れるコケの量が少なく、掃除スピードには開きが出てしまいます。そのぶん、水草の食害が抑えられるのはメリットですが・・・
ミナミヌマエビの適正数は?
体格差を考えると、ミナミヌマエビの適正数はヤマトヌマエビの適正数×5匹となります。下の表は、ヤマトヌマエビの適正数の平均に5を掛けたものです。経験上、コケ取りを目的にした数では妥当かと思います。
水槽サイズ(cm) | 内寸容積(L) | ミナミヌマエビ適正数 |
W20×D20×H20 | 7 | 3匹 |
W30×D18×H24 | 12 | 8匹 |
W30×D30×H30 | 25 | 15匹 |
W36×D22×H26 | 19 | 13匹 |
W45×D27×H30 | 34 | 23匹 |
W60×D30×H36 | 60 | 38匹 |
しかし、ミナミヌマエビの特徴を考えると安易に数を決めないほうが良さそうです。というのも、自然繁殖して数が増えるので、それを見越した数の選定が大切です。次の項で解説します。
ミナミヌマエビの特徴を踏まえた導入
ここで一旦、ミナミヌマエビの特徴をあげてみます。
- 水槽内で自然繁殖する
- 他の生き物に捕食されやすい
- コケ取り能力は低いが、水をさほど汚さない
といった特徴がありますね。ですので、数に関しては自然淘汰にまかせるのも一つの方法ではないでしょうか。
具体的には、適正数を超えない範囲で、ある程度自然繁殖できそうな数を入れます。その後は、繁殖で増える・捕食されて減るを繰り返し、数が落ち着くのを待ちます。結果として、
- ミナミヌマエビが増えすぎる
- コケが減らない、増える
- ミナミヌマエビがいなくなる、活動しなくなる
といった状況になるようでは、そもそもどこかのバランスが悪いのかもしれません。
例えば、グッピーとミナミヌマエビを同居させた場合。それぞれ生活圏が違うため、捕食されることなく増え続け、最終的には排泄物により水質が悪化します。これは生態系の上で相互に関係し合ってないので、淘汰が起きません。
自然淘汰を見据えた適正数の目安は以下のとおりです。(適正数の6割程度)
水槽サイズ(cm) | 内寸容積(L) | ミナミヌマエビ適正数 |
W20×D20×H20 | 7 | –(淘汰が起こりにくい) |
W30×D18×H24 | 12 | 5匹 |
W30×D30×H30 | 25 | 9匹 |
W36×D22×H26 | 19 | 8匹 |
W45×D27×H30 | 34 | 14匹 |
W60×D30×H36 | 60 | 23匹 |
淘汰を期待するのなら、ミナミヌマエビを捕食する存在が重要です。小型の魚やオトシンクルスを入れてみましょう。大きすぎるとミナミヌマエビが食べ尽くされるか怯えて隠れてしまうので、適当なサイズの魚を選びます。
水槽が小さいほど、生態系の形成は難しくなります。あくまで目安とお考えください。
まとめ
ミナミヌマエビの適正数についての考察でしたが、いかがでしたか?
ミナミヌマエビの適正数は、おおむねヤマトヌマエビの適正数の5倍です。ですが、自然繁殖をしてしまうので、単純計算で決めてしまうのは危険。
それならば、自然繁殖という特徴を活かして、水槽内での淘汰に任せるのもアリです。適度に捕食する存在を置き、生態系のバランスを意識して導入してみましょう。それも一つの、興味深い選択です。
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