美しく茂った水草の景観に憧れてアクアリウムを始めた人も多いはず。ですが、いざやってみると
- 水草が育たない
- 間延びしたようになる
- 枯れてしまう
といったことがあると思います
ですが安心してください。誰もが通る道なので!
水草が育たないというのは、逆に言えば
水草が育つ条件を満たしていないということです
この水草が育つ条件さえわかれば、水草育成はだいぶ容易になります
水草が育つために必要な条件を、さっそく見ていきましょう
水草が育つために必要な条件
水草が育つために必要な条件は
- 光合成ができる要素が揃っている
- 光合成ができる環境が整っている
この2つです
水草そのものが光合成をするために必要な要素と、それを行える環境どちらも大切です
それぞれ見ていきましょう!
水草が育つ条件①光合成に必要な要素
まず植物が成長するためには
- 光
- 水
- CO2
- 栄養
が必要です
植物はこれらを使って、光合成をします
光合成とは、光エネルギーを化学エネルギーに変換して植物自身の体を作ること
つまり、育つということは光合成をすることです
水草も植物なので、これらの要素が必要です
どれか一つでも欠けていると、植物は成長できなくなります
水
水は、たくさんありますね。水上葉はいったん置いときます
光
光は照明器具から得られます。ただしどんな光でも良いわけではなくて、植物(水草)の光合成に重要なのは、
赤と青の波長
です
もっと具体的には660nmと440nm付近の波長が有効とされています
家庭菜園などの植物育成用のランプの光がピンク〜紫っぽい色をしているのはそのためです
さらにいうと、これらの光の絶対量が多い方が良いです
いくら有効な波長を含んでいても、光が弱かったら効果が薄くなります
曇り空で育てるような感じです
なので、水草を育てられる照明を選ぶ際は、
- 660nmと440nm付近の波長を含むこと
- 明るい(ルーメンが大きい)こと
がポイントです
CO2
CO2(二酸化炭素)は、生体が呼吸することでも発生し、水草はそれを利用できます
ですが、どんなに魚を過密に入れたところでCO2は足りません
そこで、CO2を添加する必要があります
光合成に必要な要素のどれか一つでも欠けると水草は成長できないので、CO2添加はマストと言えます
お金を掛けたくなかったら、発酵式という方法があるので試してみるのも良いですね
栄養
光合成をする上で特に重要な栄養は
- カリウム
- 窒素
- リン
この3つです。水草の三大栄養素と言われます
窒素は魚のフンから、リンは魚のエサから補えるので、あまり意識する必要はありません
カリウムだけは、水槽内で発生することはほとんど無く(水草の枯葉から多少流出する)、水換えで失われるので、人為的に添加する必要があります
カリウムの添加は、カリウム水溶液を自作することでコストをかけずに実現できます
水草が育つ条件②光合成ができる環境(水質)
水質と聞いて、拒絶反応を起こさないでくださいね(笑)
結論からいうと水草育成に重要な水質は、
26℃前後の、弱酸性の軟水
です
その理由は、
この水質の時に水草は、栄養をうまく使える
からです
水草の産地を考えれば納得しやすいと思います
この水質の環境で、水草が長いこと繁栄してきました。その水草を水槽に持ってくるのだから、水質も同じにした方が良いということです
弱酸性とはpH6.5 くらいが目安です
水質検査キットなどを使って、一度調べてみるのもいいと思います
軟水かどうか(硬度)に関しては、硬度はある程度pHと連動しますので、pHを下げることだけを意識すればとりあえずはOKです
pHを下げるには
- ソイルを使う
- CO2を添加する
- pHを上げるもの(砂利、貝、青っぽい石)を入れない
ことが重要です
以下の記事でも詳しく解説しています
水草が育つ条件は以上です
ここから先は、水草の成長に影響してくる要因を解説します
日照時間
日照時間についてもお話しします
先ほど、水草は光合成をすることで成長すると言いました
ならば、24時間 光合成をさせ続ければ良いのでは?と思うかもしれません
ですが、植物にも朝晩の概念があり、規則正しいリズムで照射することが大切です
照明時間は基本的に 8〜10時間/1日
照明が落ちている時間は水草も休眠状態になり、翌日の光合成のために力を蓄えます
有茎草等は葉を閉じているのが確認できると思います
この時は植物も光合成をストップし、二酸化炭素を吐き出しています
酸欠の可能性もあるので、夜間のエアレーションはオススメです
ソイルの種類
ソイルは水草育成に良いのは確かですが、
どんなソイルを使っているかでも、水草の成長に影響します
ソイルは主に次の2つの種類があります
- 栄養系・・・水草の栄養を含む
- 吸着系・・・栄養分を含まない
ソイルのパッケージを確認してみましょう
栄養系ソイルの場合は水草の成長が良くなります
かといって吸着系ソイルではダメということではありません
バクテリアが定着することで、生物の排泄物を、水草が栄養として吸収しやすい物質に分解します
栄養が含まれないことに関しては、固形栄養剤を埋めることで補えます
不要な栄養分を含まないので、コケの抑制には有利です
水草の成長でスタートダッシュを切りたいときは、栄養系ソイルがオススメです
バクテリア
魚の排泄物や水草の枯葉が水草の栄養になると言いましたが、バクテリアがこれらを分解することで水草が吸収しやすい形になります
よって、バクテリアが十分に増えていることも水草育成には重要です
ろ過フィルターのろ材容量が大きいほど、水草育成に有利と言えます
ソイルや流木等にもバクテリアは定着できますが、ろ過フィルターのろ材はバクテリアを効率良く定着できるように設計されています
そういった理由に加えて、CO2が逃げないことから、水草育成には外部フィルターがオススメです
水流
水流も水草育成には重要です
水草は根だけではなく、葉からも栄養を吸収します
CO2や栄養を水草の葉に行き渡るようにするために、水槽全体に滞りなく水が行き渡るのが理想です
有茎草が繁茂している場合、根元付近の水が流れにくいところが枯れてしまうことがあります
それでも草の上の部分は余力によって成長できていますが、効率良く栄養を吸収できるように、密になった部分の水草をときどき間引くことも大切です
水草が曲がるほどの水流も負担をかけるのでNG。水草のてっぺんが揺らぐ程度の水流を心がけましょう
まとめ
これまでお伝えしたことをまとめます
水草は光合成をすることで成長します
- 水
- 光
- CO2
- 栄養
これを満たせば水草は成長します
光は赤と青の波長を含みつつ、なるべく明るい照明を!
CO2添加はマストです
- カリウム
- 窒素
- リン
三大栄養素のうち、カリウムだけは補給すべき!
窒素・リンは、魚のフンとエサから補給できるが、効率よく吸収させるにはバクテリアが十分繁殖していることがポイントです
水草が育ちやすい環境(水質)は、
26℃ 弱酸性の軟水
理由は、多くの水草はこの水質で栄養をうまく使いこなすから
根掘り葉掘り話しましたが、栄養は根から・葉から吸収されます
ソイルは栄養系なら有利だけど、吸着系の場合は固形栄養分を
葉から吸収させる場合は水流にも気を付けましょう
日照時間は規則正しく!
夜更かしは禁物ですよ!
今回ご紹介したことを意識していれば、ある程度の水草は育てられるはずです
それでも育たない種類が出てきたときは、水草の産地の水質を調べたり、他の栄養素について知識を広げていくのも良いと思います
それでは、良い水草ライフを!
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