アクアリウムには、失敗はつきものです
飼育に必要なものは全て揃えたはずなのにいざ魚を飼い始めると、
- 物陰や水槽の隅で怯えたようにじっとしている
- 餌もあまり食べてくれない
- 日に日に魚が死んでしまう
という状態で、どうしたらいいか分からない方も多いのではないでしょうか?
私自身も初心者のうちは「魚を10匹入れたのに1週間後にはもう3匹しか生き残っていない」ということがありました。死骸を取り除くたびに悲しい気持ちになるものの、何がダメだったのか分からずにまた魚を買ってきてはの繰り返し・・・
しかし、アクアリウムを10年以上続けているうちに”水”について考えるようになると、セット初期から入れた魚の生存率は9割程度で管理できるようになり、
「めっちゃNGなことをしていた!魚たち、ごめん!」と気づきました
というわけで、
- セット初期にやりがちな失敗例4つ
- 生存率を9割に上げるコツ
これらについて、専門的な用語をできるだけ使わずにわかりやすく解説します!
今まで「魚が長生きしない、アクア向いてないのかな・・・」と思っていた人も、元気に美しく泳ぐ魚を見れるようになれば幸いです
魚に大ダメージを与えるNG行為
以下のようなことはしていませんか?これらは魚に生き残りを分かつ過酷な試練を与えています!
- 水槽をセットした日から魚を入れた
- 買ってきた魚を袋からそのまま水槽に入れた
- セットから1〜2週間の間に魚を増やした
- 餌を毎日2〜3回与えた
該当しなかったら、飛ばしてください
それではひとつづつ見ていきましょう!
①水槽をセットした日から魚を入れた
水槽をセッティングしたら、魚を泳がせたいですよね。何もいない水槽は寂しいですから
でもセットしたばかりの水槽の水は、魚に適した水にはなっていません
もう少し具体的にいうと、「水を浄化するバクテリア」が全然いない状態です
魚がしたフンや餌の食べ残しからは、アンモニアという有害物質が発生します。これが実はめちゃくちゃ猛毒です
セット初日から10匹とか魚を入れてしまうと、アンモニアはどんどん蓄積し、すぐに魚にとって危険な濃度になってしまいます。魚は餌を食べるどころでは無くなり、日に日に衰退していってしまいます
「水を浄化するバクテリア」は猛毒のアンモニアを分解し、ほぼ無害なものに変えます
バクテリアはどこにでもいるのですが(市販のバクテリア剤を買う必要は無いよ)、十分増えるまでに3週間ほどかかります
それまでにたくさん魚を入れてしまうとアンモニアの分解が追いつかず、知らず知らずのうちに魚が生きられない環境にしてしまうのです
②買ってきた魚を袋からそのまま水槽に入れた
ショップで魚を購入してきたら、すぐに泳がせたいのが人情・・・
しかし、袋からそのまま水槽に入れてしまうと(俗にいうドボン)、急激な水質の変化を受けてショック状態を起こしてしまいます
人間で言うと準備体操もせずにプールに飛び込むようなものです。突き落とされる、かな(笑)
体が小さい魚にとっては負担が大きく、一時的に気絶するだけで済むこともあれば、数日後に死ぬというケースもあります
こうならないために、異なる水質の水に移すときはゆっくりと水質をそろえて、落差を無くしてから移すようにします。これを水合わせと言います
③セットから1〜2週間の間に魚を増やした
セットしてからしばらくして、魚を増やして華やかな水槽にしたいと思うかもしれません
ですが、1〜2週間ではまだバクテリアが不十分の場合がほとんどです
バクテリアが十分増殖するまでに3週間〜1ヶ月ほどかかります
その前に魚を10匹、20匹と入れるとアンモニアの濃度が急上昇トレンド入りして危険です
せっかく順調だったのが台無しになることも・・・
早く魚を泳がせたいのに焦らされてるような気分ですが、もう少し待ちましょう
バクテリアが増えるまでは、ガマンの日々です
④エサを毎日2〜3回与えた
お腹が空くだろうと思って、エサを与えすぎていませんか?
または、全然食べないから少しでも食べてくれ〜と思って頻繁に与えたり
それが逆効果になっていることもあります、というかこれが原因ということもけっこうあるんです
エサの食べ残しからも有害物質が発生します
有害物質によって元気をなくし、エサを食べるのすらままならない。そこにさらにエサを入れて水質を悪化させてしまうという悪循環が生まれます
まだバクテリアが十分でないときは、エサを与えるのは1日1回でも大丈夫です
魚は1〜2日何も食べないくらいでは死なないので安心してください
飼育環境を整えただけでは、まだ魚が住める環境にはなってない
ガイドブックにあるように器具を揃えただけでは、まだ魚が住める環境にはなっていません
先ほど出てきた、アンモニアとバクテリアが重要ポイントになります
ここが、他の小動物と違って難しいところでもあるんです
例えばハムスターなら、おしっこをしてもそこから少し離れた所に食料を溜め込んだり、寝床を分けて睡眠したりします
一方魚の場合、排泄物から出る有害物質(アンモニア)は水槽全体に漂い、徐々に危険領域になっていきます
これを無毒化するバクテリアがたくさん増えて初めて、魚が住める環境になったと言います
俗に言う、水が出来上がった、立ち上がったと言うやつですね!
バクテリアは、何かの表面で増えていきます、フィルターのろ材とかです。ガイドブックにある水槽セット例は、ある意味バクテリアが快適に暮らせる環境例です
そして、バクテリアが増えることで、魚が快適に暮らせる環境ができていきます
バクテリアがもっと快適に!効率よくバクテリアを増やすには、エアレーションと言って酸素を供給することが有効です。アンモニアを分解するバクテリアは酸素を必要とするからです。
パイロットフィッシュの必要性
ガイドブック通りにセット完了!でもバクテリアが不十分ということは、魚はまだ入れちゃいけないの?
はい、たくさんは入れられません。ですが、「パイロットフィッシュ」は入れられます
パイロットフィッシュとは、バクテリアを効率よく増やすために、バクテリアのエサとなるフンをしてもらうために入れる魚のことを言います
「パイロットフィッシュ」という名前の魚がいるわけではありません。ショップで「水槽立ち上げたんでパイロットフィッシュください」と言わないようにしてくださいね(笑)
水槽の立ち上げを導く魚という意味です。どんな魚が適役かというと、小型で丈夫な種類の魚がオススメです
ネオンテトラ、カージナルテトラ、アカヒレ等がパイロットフィッシュに向いてるとされますが、今後もずっと飼育するので、愛情を持って育てられる魚にしましょう
パイロットフィッシュを入れる数は、30cm水槽で1~2匹、60cm水槽で3〜4匹程度です
立ち上げ時はなんとなくこれを意識してください
めちゃめちゃ変な図を出します・・・
横は時間の経過で、3週間から1ヶ月を表します
- たくさん魚がいるとアンモニアはどんどん増えて、バクテリアでも手に負えません
- 魚が少ないと、出るアンモニアも少ない
- バクテリアは最初はゆっくり増える
- 水換えをしてアンモニアを排除しながら、バクテリアが増えるのを待つ
- バクテリアが増えれば、図のアンモニアの量はもっと少なくなる
飼育環境によってこの図の通りとは限りません。ですが、立ち上げ時にこれをなんとなくでも意識するのとしないのとでは、立ち上げ成功率が変わります!
水質をチェックしてOK→魚を買いに行こう
水槽をセットし、パイロットフィッシュを泳がせて3週間経ったくらい。この頃になると、だいたい水は出来上がっています
見た感じで、
- 水がキラキラしている気がする
- パイロットフィッシュが食欲旺盛
- うっすらコケは生えるが、イヤな臭いはしない
だったらほぼOKです!
余裕があるなら、水質検査キットを使ってアンモニア濃度を測ると最高です!
アンモニア濃度が基準値以下であれば、魚を買ってきて水槽に入れて問題ありません
当初思い描いていた魚達を泳がせましょう!
まとめ
ここまでお読みいただきありがとうございます!魚に負担をかけない飼育方法はなんとなくわかりましたでしょうか?かんたんにまとめます!
以下のことはNG!
- 水槽をセットした日から魚をたくさん入れる
- 買ってきた魚を袋からそのまま水槽に入れる
- セットから1〜2週間の間に魚を増やす
- 餌を毎日2〜3回与える
水槽をセットしても魚が住める環境にはまだなっていない←水を浄化するバクテリアが少ないから
パイロットフィッシュを入れてバクテリアを増やそう(その際はエアレーションも有効)
アンモニアとバクテリアの勢力図をなんとなく意識します
3週間ほど経ち、
- 水がキラキラしている気がする
- パイロットフィッシュが食欲旺盛
- うっすらコケは生えるが、イヤな臭いはしない
になったら、魚が住める環境になっています。この頃になれば、生存率は格段に上がるでしょう!
アンモニア等の有害物質について、より詳しく知りたい方はコチラ↓
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