近年人気が高まっているメダカ。本記事では、メダカの生態や特徴、人間との関わりについて、できるだけわかりやすくお伝えします。
メダカについての理解が深まりますので、これから飼育する人にもおすすめの記事です。
メダカとは?|メダカは人間との関わりが深い
メダカは、ダツ目メダカ科メダカ属に属する淡水魚の総称。
飼育や繁殖が容易で、日本では古くから観賞魚として人気があります。品種改良も盛んで、ヒメダカをはじめ500を超える品種が確認されています。
さまざまな科学研究にも利用されており、生物学の分野では優れた生物モデルとして知られています。
ちなみに卵生メダカや卵胎生メダカと呼ばれる熱帯魚(グッピーやプラティなど)は、カダヤシ目に属しており、メダカとは関係はありません。
分類|日本のメダカは大きく分けると2種類
日本産のメダカを遺伝的なグループに分けると
- ミナミメダカ(中国地方、四国、九州、南西諸島)
- キタノメダカ(東北・北陸地方)
の2種類に大別されます。これらを総じてニホンメダカと言います。キタノメダカは体の後半に黒い網目状の模様があります。
他にもメダカ属に含まれるものは、東アジアから東南アジアにかけて20数種類が存在します。
オスとメスの体の特徴
メダカのオスとメスそれぞれの特徴は、以下の表のようになっています。
オス | メス | |
尾びれの先の形 | 平行四辺形 | 三角形 |
背びれ | 欠けがある | 欠けが無い |
胸びれと腹びれ | 小さい | 大きい |
背びれと尾びれ | 大きい | 小さい |
メダカの名前の由来|方言名は4,680種類!
「メダカ」という名前は、目が大きく高い位置にあることに由来しています。漢字で書くと「目高」です。
また、身近な存在であるにも関わらず統一された名前はありませんでした。そのため、地方ごとの呼び名が生まれ、その数なんと4,680種類!「メ」「ウキ」「オキンチョコバイ」「カンカンビイチャコ」などなど(笑)。
生態|メダカの暮らしとライフサイクル
メダカは流れの穏やかな小川や水路、池などに生息しています。故郷は比較的浅く、横に長ーーーいフィールドですね。
メダカは雑食性でミジンコや藻、植物プランクトンなどを食べます。蚊の幼虫であるボウフラも好んで食べるため、ボウフラを退治する益魚としても知られています。しかし、生まれたばかりのメダカ(針子)は逆にボウフラに食べられてしまうので注意が必要です。
産卵時には約10個の卵を産み、春から夏にかけて産卵します。ヒーターなどで水温を管理すると、季節関係なく産卵するようになります。仔魚は夏から秋にかけて成長し、翌年には産卵します。
メダカの寿命は1〜2年と言われていますが、飼育下では5年生きた例もあります。
腎機能が発達していることから対塩性が高く、慣れさせれば海水での飼育も可能なほど。このおかげで、洪水で海に流されても再び川に戻ってくることができるのです。
メダカは人間によって絶滅に追い込まれている
80年代以降、野生のメダカが減少しました。その原因は、
- 農薬や生活排水
- 開発による小川の減少
- ブルーギルやカダヤシなどの外来種に捕食される
といったことが挙げられます。また、かつての日本の生活スタイルと共生するかたちで繁殖していましたが、農地改良により環境が変わり、繁殖が困難になったことも影響しています。
その結果、メダカは絶滅危惧種として指定され、現在では日本各地で保護活動が行われるようになりました。
間違った保護活動は遺伝子汚染の懸念
配慮のない行動から、遺伝子汚染が問題視されています。
メダカを絶滅から守ろうとして、本来そこにいないはずの種を放流してしまう例が多数ありました。
メダカは遺伝的に北日本集団と南日本集団に分かれており、各水域にはさらに細かい地域型が存在します。そこに生息していない遺伝子の種を放流してしまうと、局所的に遺伝子が絶滅することがあります。放流は絶対にしてはいけません!メダカに限らず、観賞魚や水草にも言えることですね。
メダカがモデル生物として優れている理由
メダカは生物学的な分野において、さまざまな研究に利用されています。その理由を以下に挙げます。
- 採取が容易だった
- 体が丈夫
- 飼育が容易で遺伝子の研究に適している
- 卵と胚が透明で観察に適している
- 突然変異種も観賞魚として残っている
といった理由から、モデル生物として優れているためです。
メダカのブリーディングは比較的手軽に楽しめますが、生物学的に非常に興味深いことでもあるのですね。
メダカの食用利用|やはり新潟が進んでいる
新潟県の一部地域ではメダカを佃煮にしたり、味噌汁の具として食べる習慣があります。近年では養殖も行われるようになりました。食べる気満々です。これは野生のメダカではなく、改良品種であるヒメダカを利用しています。
カラーメダカとは?ブリーディングをするなら知っておきたい知識
メダカの突然変異型では、黒・黄・白・虹色の4つの色素の見え方の違いによってさまざまなカラーバリエーションがあり、カラーメダカと呼びます。
突然変異型には以下のような種類があります。
- ヒメダカ:黒い色素が無く、黄色が強いため、オレンジ色の体色をしている。
- シロメダカ:黒と黄の色素が無いため、白く見えるメダカ。白い色素をもつ系統はさらに白い。黄色の色素を僅かに作る個体は、繁殖の際にしっかり選別を行わないとヒメダカに戻ることがある。
- アオメダカ:野生のメダカの、黄色色素が少ない個体を固定したもの。青っぽく見えるものの青い色素は持たない。
- アルビノ:白変種。白子とも言われる。目は血液のため赤い。
- 透明メダカ:黒・白・虹色の色素を作らない、脳や内臓まで透けて見える透明なメダカ。名古屋大学のグループによって作出され、解剖を行わなくても生きている生物の内臓を研究できるようになった。
上記のカラーメダカと区別するために、野生のメダカをクロメダカと呼びます。しかし、品種改良によって黒く改良されたメダカも存在し、しばし混乱の元になっています。
カネのために遺伝子操作されたメダカ
台湾などから輸入される「光るメダカ」とは、人工的に作られた遺伝子組み換え生物であり、発光クラゲのDNAを組み合わせています。日本では遺伝子組み換え生物の規制(カルタヘナ法)があり、この光るメダカは規制を受けずに輸入されている違法商品です。環境省と農林水産省は回収を呼びかけています。
2023年3月には、東京工業大学の飼育室から赤い蛍光色を放つミナミメダカが学生によって持ち出され、愛好家の間で流通していることが確認されました。こちらも遺伝子操作により作出されたもので、国内では初のカルタヘナ法違反による逮捕者が出ました。
まとめ
メダカに関する基礎知識について解説しましたが、いかがでしたか?
日本人にも古くから関わりがあり、身近な存在だったはずのメダカ。でも開発が進むにつれて野生のメダカの生きる場所は失われつつあります。
飼育してみるととても可愛らしいお魚で、その故郷を守りたいという気持ちになりませんか?本記事が、メダカへの理解の助けになれば幸いです。
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