水槽サイズの選び方のポイント|各サイズのメリット・デメリット

基礎知識

アクアリウムを始めるにあたって、まず最初の悩みどころとなるのは水槽のサイズ選びではないでしょうか?

「お部屋の広さがこれくらいだから、水槽はこれくらいの大きさでいいかな?」

こんな感じに選んでももちろんダメではありません。趣味なので自由に選んでも誰も怒りません(笑)。でも・・・

水槽サイズによって

  • 飼育できる魚が種類
  • 水質キープのしやすさ
  • 縦横比の違いによるレイアウトの考え方

が違ってきます。

つまり水槽サイズはただ単に大きさの違いだけではなく、それぞれ特徴やメリット・デメリットがあります。

生き物を飼い始めてしまうと簡単に変えることができないので、後悔しないような水槽選びをお勧めします。

この記事では水槽のサイズごとの特徴やメリット・デメリットを解説していますので、水槽サイズ選びの参考にしてください。

水槽のサイズの基礎知識

30*18*24水槽

よく60cm水槽とか90cm水槽という表記を見ますね。

この〇〇cmは水槽の横幅を表しています。

では奥行きと高さはどうなっているかというと、ある程度の規格で揃えられています。

具体的には以下の通りです。

種類幅・奥行き・高さ(cm)参考価格水容量(約)重量(ガラス水槽)備考
120cm水槽120×45×4530,000〜
50,000円
230L60kgアロワナ等の大型魚や、コンテストも狙える水草水槽の制作。施設や学校の展示水槽等。
90cm水槽90×45×4520,000〜
40,000円
170L40kg迫力のレイアウトが楽しめる。一般家庭の床が抜けないギリギリの総重量。
60cm水槽60×30×364,000〜
10,000円
59.4L13.8kg最も一般的な規格。水質管理のしやすや、鑑賞性、器具の充実などから初心者にもオススメなサイズ。
45cm水槽45×27×303,000〜
8,000円
32.8L7.5kgコンパクトながら小さすぎず存在感十分の大きさ。
30cmキューブ水槽30×30×302,000〜
6,000円
24.3L5.6kg立方体の水槽。正面だけでなく、側面や斜めから鑑賞することも考えられる。
30cm水槽30×18×242,000〜
5,000円
11.3L3.5kgとてもコンパクトで省スペースな水槽。水質が変化しやすく維持の難易度は高くなる。
20cmキューブ水槽20×20×201,800〜
4,000円
6.8L2.4kgさらにコンパクトなキューブ水槽。ミスト状態にしてコケリウムを楽しむのに向いている。

一般的なサイズ規格はこんな感じで、これ以外にも水槽のサイズは沢山あります!

水槽の特徴を表す呼び方として、

  • キューブタイプ
  • スリムタイプ
  • ロータイプ
  • ハイタイプ

があります。簡単に説明します。

キューブタイプ・・・縦、横、奥行きが同じの立方体の水槽

スリムタイプ・・・奥行きを抑えたスリムな水槽。高さも少し低くなっているものが多い

ロータイプ・・・横幅・奥行きはそのままに高さを抑えたタイプ

ハイタイプ・・・横幅・奥行きはそのままに高さを持たせたタイプ

この他にも各メーカー独自の形・大きさの水槽があったりします。

水槽サイズ選びの際に考慮すべきこと

水槽サイズを考える際は、以下のことを踏まえて考えることをオススメします。

  • インテリアとして無理がないサイズか
  • やりたい事ができるか
  • 総水量はどれくらいになるか
  • 器具も含めた予算

インテリアとして無理がないサイズか

部屋に置いた時に大き過ぎる・または小さ過ぎるといったことがないように、他の家具とのバランスも考えましょう。小ぶりな家具が多い部屋にドンっと大きい水槽は圧迫感がありますし、逆に背の高い家具の間に20cm水槽がポツンとあっても寂しいです。泳がせる予定の魚の大きさも考慮しましょう。水槽よりも先に水槽台から考えるのもありです。

やりたい事ができるか

大型魚を飼いたい、水草を綺麗に育てたいなどの目的によっても選ぶべきサイズが変わってきます。飼いたかった魚が飼えないとなっては悲しいですね・・・。本記事である程度は目的別に決められます。

総水量はどれくらいになるか

魚のフンなどから有害物質が発生しますが、総水量が多いほど薄まり、全体への影響が少なくなります。つまり水質維持がしやすいです。これに関しては極論、大きい水槽ほど良いってことになりますが水槽サイズごとの総水量は意識しておきましょう。

器具も含めた予算

水槽サイズが上がるほど、それに必要な器具にかかる費用も倍々計算のように膨れ上がります。電気代や水道代も上がります。

水槽サイズごとの特徴

水槽のサイズごとの特徴やメリット・デメリットを解説します。水槽サイズ選びの参考にしてみてください。

60cm水槽(幅60×奥行30×高さ36cm)

最も標準的とも言えるサイズで、たぶんどのサイトを見ても初心者に推奨されています。その理由はやはりメリットの多さ!

60cm水槽のメリット

水質管理がしやすい・・・総水量が十分にあり、水質が急変しにくいことから初心者にも維持がしやすいサイズです。魚や水草が急に調子を崩す、といったことが少ないく、水質について理解するのにもほど良い水量です。

アクアリウムグッズが充実・・・多くのアクアリウム製品は60cmレギュラーサイズを基準としているので、器具や道具が豊富に流通しています。

縦横が黄金比・・・正面ガラスの縦横比がほぼ黄金比になっています。黄金比とは、最も安定感を感じる長方形。水景のレイアウトも考えやすいです。

たくさんの種類の魚が飼える・・・エンゼルフィッシュやプレコ、ディスカス等の比較的大きめな魚を飼うことができます。また、ネオンテトラのような小型魚を群泳させることもできます。よっぽど大きな(アロワナとか)を除き、多くの種類の魚に対応できます。

奥行きが程よい・・・少し専門的な言葉になりますが、前景・中景・後景の区分けがしやすいです。つまり水景の手前、中央、奥で違う水草を植えたりすることで奥への広がりを表現できます。水を入れると光の性質上、奥行きが狭まって見えがちですが、30cmあれば多彩な表現が可能です。

60cm水槽のデメリット

これといったデメリットは見当たらないのですが強いていうなら、初心者向けとはいえそこそこデカいことです。お部屋の大きさによっては大き過ぎると感じる場合も。

ガラス水槽だけでも10kgくらいあります。一人で作業するとなると、水槽台に設置するだけでも大変かもしれません。

水質うんぬんのお話をしましたが、水槽サイズを下げても十分管理は可能です!

60cmはちょっと大きいかも、と思ったらサイズダウンも全然ありです。

45cm水槽(幅45×奥行27×高さ30cm)

大きすぎず小さすぎずで程よい。悪くいうと中途半端?

45cm水槽のメリット

狭い部屋にもちょうど良いサイズ・・・60cmに比べると多少は劣るものの、十分迫力のあるアクアリウムが楽しめます。リビングにドンっと置くよりは、家具の隙間で主張を抑えつつ存在感のあるアクアリウムを楽しみたい人向け。

コストを抑えられる・・・60cmに比べると少しコンパクトなので、水槽に入れる素材などが少なくなりコストを抑えられます。それでも十分多彩なレイアウトが可能です。照明やフィルターも多少リーズナブルです。

45cm水槽のデメリット

若干コスパは悪くなる・・・とても良い水槽サイズと思えますが、どうしても少数派なため関連グッズが割高です。

生体をたくさん入れられない・・・60cmと15cmしか幅は違わないものの、水量は半分程度になります。そのため、あまり多くの生体を入れると水が汚れやすくなり水質のトラブルを起こしやすくなります。

45cm水槽用のグッズが少ない・・・人気の60cmと30cmに挟まれた45cmの関連グッズは、アクアリウムショップの在庫も少ない印象です。特に水槽台も少なめです。そういう時はネットで買いましょう。

30cmキューブ水槽(幅30×奥行き30×高さ30cm)

サイコロのような立方体の水槽。水槽の形を活かした独創的なレイアウトの可能性を秘めている!

30cmキューブ水槽のメリット

キューブタイプならではのレイアウトが楽しめる・・・キューブタイプの水槽は、正面の他にも横から・斜めから鑑賞することができます。アイディア次第でレギュラー水槽とは違った楽しみ方ができるのがキューブタイプの魅力です。

例えば、

  • 斜めから見たときに最も美しく見えるレイアウト
  • 切り株のような流木を中央に置いて、様々な角度から眺める
  • レアな水草を愛でる

キューブタイプがあることで、選択肢が広がります。

コンパクトながら奥行き感がある・・・幅が30cmとコンパクトながら、60cm水槽と同じ奥行きがあります。水草で奥行きを表現するも良し、白い砂で奥へ続く道を作るのも良し。魚が餌を食べに奥側から手前に寄ってくる姿も可愛いものです。

機材が充実している・・・30cmもわりと人気のサイズ。そのために30cm水槽に対応したグッズも豊富で、リーズナブルな商品が多いです。

ミスト式立ち上げに向く・・・あまり場所を取らないので、部屋のすみでひっそりとミスト式立ち上げができます。独創的なレイアウトをミスト式で立ち上げても面白そうですね!

30cmキューブ水槽のデメリット

水草大きくなると窮屈・・・水草が勢い付くとすぐに水槽が水草でいっぱいになってしまいます。成長の早い有茎草は頻繁にトリミングが必要になってきます。

たくさんの種類の水草を植えるとごちゃごちゃしがち・・・緑の絨毯を作る!とか、陰性水草をじっくり育てるとかコンセプトを決めて制作すると良いかもしれません。

30cm水槽(幅30×奥行18×高さ24cm)

置き場所を選ばないコンパクトな黄金比水槽!

30cm水槽のメリット

極小世界観が楽しめる・・・ミクロな世界観のレイアウトが楽しめます。キューバパールグラスのような小さい葉の上にエビの赤ちゃんがいたりすると何とも言えない可愛らしさです。思わず虫眼鏡で覗きたくなるような、ミクロな水景を楽しむのにぴったりのサイズです。

水草が育てられる小型水槽・・・水草もしっかり育てられます。これより小さい水槽では難しくなってきます。

正面ガラスが黄金比・・・正面が黄金比なので、小さいながらも安定感のあるレイアウトが可能です。60cmレギュラーをミニチュア化したような感じ(勝手はだいぶ違いますが)。

コストを抑えられる・・・全体的に小さい分、新規立ち上げ時に必要なレイアウト素材を揃えてもかなり安くできます。

ベタ水槽に・・・1匹で飼うのが基本のベタは、30cmキューブだとスペースを持て余し、超小型水槽だとゆったりできない。30cmレギュラーはちょうど良いサイズです。

30cm水槽のデメリット

水質が変化しやすい・・・水量が少ない分、ちょっとしたことで水質が変化していきます。水温も変化しやすいので、朝晩の寒暖差にも注意が必要です。

器具を入れるスペースが少ない・・・前途の寒暖差対策でヒーターを設置すると、ヒーターの存在感がかなりあります。フィルター等も物によってはパイプが目立ちます。透明のガラス製パイプがお勧めです。

ヤマトヌマエビが巨大に感じる・・・苔取り生体としてヤマトヌマエビを投入したいところですが、水景に対して巨大に感じてしまいます(特にメス)。馴染みのショップでオスを選別してもらうか、ミナミヌマエビに頑張ってもらいましょう。また、遊泳エリアが狭くなる分飛び出し事故も多くなります。

20cmキューブ水槽(幅20×奥行20×高さ20cm)

コンパクトで玄関にも置きやすいサイズ。

20cmキューブ水槽のメリット

置く場所を選ばない・・・総重量が10kgに満たないので、様々な場所に置くことができます。

コケリウムに向く・・・密閉できるフタを利用したコケリウム等に挑戦しやすいサイズです。

ADAの詫び草がちょうど良く収まる・・・詫び草という、水草とベースがセットになった物を一個入れるのにちょうどいいサイズです。詫び草を水耕栽培して、水草の根によるプラントフィルターで小型魚を育成するのに向いています。

20cmキューブ水槽のデメリット

水質管理が難しい・・・魚のフンや朝晩の寒暖差等で水質が安定しにくく、管理が難しいです。

器具を一通り入れることが難しい・・・サイズが小さいため、各種器具を設置するとほとんどスペースがなくなります。そのために前途の水質管理を難しくしています。

水草育成は難しい・・・そもそも20cm水槽に対応した、十分な性能を持つ照明器具がほとんどありません。しっかりとした環境で、美しく育てることは至難の業でしょう。

鑑賞目的ならコンパクトなライトがオススメ!

また、ADAのマグネットライトなら20cm水槽を活かしたおしゃれな構成が可能です。

90cm水槽(幅90×奥行45×高さ45cm)

迫ってくるようなアクアリウム体験ができる水槽サイズ!

90cm水槽のメリット

より自然環境に近い環境で飼育が楽しめる・・・レイアウト素材を多く使用した水槽なら、大量のバクテリアが定着し、より自然環境に近いサイクルが形成できます。水質も安定しやすくなります。

レイアウトの自由度が増す・・・使える空間が増えるので、レイアウトの幅が広がります。

高さのある水草も育成可能・・・高さが45cmあるので、有茎草のこんもりとした茂みも空間を圧迫しません。

群泳が楽しめる・・・小型魚なら100匹以上の群泳が楽しめます。60cmでは難しかった中型魚の群泳も。

大型魚が飼育できる・・・アロワナ、オスカー等の大型魚も飼育できます。

90cm水槽のデメリット

重すぎる・・・水槽本体と総水量だけで200Kgを超えます。万が一の事故に備えて家財保険への加入をお勧めしますが、90cmを超えると気軽な趣味というレベルには収まらなくなりますね(笑)。

費用がかかる・・・水槽が大きくなる分、見栄えのする水景を作るにはそれなりに沢山の素材が必要になってきます。照明器具や大型のフィルター等、器具代も高くなります。

維持費がかかる・・・ヒーターの電気代だけでも1ヶ月に3,000円近くかかります。水草水槽の場合はCO2の消費量も多くなります。ミドボンといった業務用のCO2ボンベも考慮するようになります。

まとめ

まとめますと、

  • 水槽サイズはある程度の規格がある
  • キューブ、スリム、ロー・ハイタイプといった特徴を持ったサイズもある
  • 水槽サイズごとに飼える魚種や管理のしやすさに違いがある

上記のことから、考えている飼育スタイルによって水槽サイズを検討しましょう。一般的なサイズの特徴は、

  • 60cm水槽はオールマイティーで管理もしやすく、初心者〜上級者まで利用できる
  • 30cmキューブタイプも人気で、形状を活かしたレイアウトを考える楽しみもある
  • その間の45cm水槽は、デメリットもあるけどサイズ的に使いやすかったりする
  • 20cm以下の超小型水槽は、機材が全然入らないので経験や工夫が必要
  • 大型魚や群泳を楽しみたいなら90cm以上も!

といった感じです。もちろんこれに当てはまらない使い方も、工夫をすれば実現可能なことは十分あります。ぜひあなただけのスタイルで、アクアリウムを楽しんでください!

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