水草の活着とは?活着可能な水草の種類ややり方を解説

アクアリウム

一部の水草は、流木などに活着する性質を持ちます。流木に根を張って自らを固定し、緑の葉を広げる様子は生命力にあふれています。こういった性質を利用すると、レイアウトも一段とカッコよくなるでしょう。

しかし、水草の活着を成功させるには、正しい方法と注意が必要です。

この記事では、水草の活着について分かりやすく解説します。初心者の方や水草の活着に悩んでいる方にとって、役立つ情報が満載です。本記事で活着をマスターし、自然感たっぷりのレイアウトを作ってください!

そもそも活着とは?

活着とは、水草が水中環境に定着し、成長することを指しています。

水草水槽においては、シダ類やウィローモスを流木などに固定して育てることを言います。

石や木に着生することで自らが流されないようにし、安定して成長するための機能で、一部の水草がこの性質を持ちます。その生命力にあふれる様子を水槽内で再現できるのが活着の魅力の一つです。

水草の活着に必要な条件

水草の活着に必要な要素は以下の通りです。

  • 水質
  • 栄養
  • 適度な水流

それぞれ見ていきましょう

水草が光合成を行うためには光が必要です。適切なライトを選び、必要な光を確保しましょう。

目安としては、赤と青の波長を含み、水草の葉が白く飛んで見えないくらいのなるべく明るい光、です。明るさだけで選べば良いと言うものではなく、感覚的な部分もありますが、不安だったら水草育成の実績のあるライトを選びましょう。

水質

活着する性質を持つ水草は限られており、その多くが以下の水質を好みます。

  • 水温:26度程度
  • pH:6.5程度(弱酸性)
  • 硬度:50mg/l以下(軟水)

多くの水草が上記が示すような水質を好みます。また、この水質は栄養をうまく使いやすい水質でもあり、スムーズな活着が期待できるでしょう。

栄養

水草の成長には栄養も欠かせません。具体的には窒素、リン、カリウムなどですが、カリウムだけは水槽内で供給されないので、人為的に添加することで水草の調子がよくなります。他の要素はお魚の排泄物や餌から得らるので、あえて添加する必要はないでしょう。

カリウムをお金をかけずに添加する方法もあります。別記事にて解説しました。

適度な水流

活着とは水草が流されないために行うもの。水流が無ければ活着を行う必要がありません。つまり、適度に水流がある方が、水草に活着を促すことができます。とはいえ、多少葉がたなびく程度で十分です。

活着させられる水草

全ての水草が、何かに活着する性質を持つわけではありません。

活着できる水草の代表的なものを以下に挙げます。

活着できる水草
  • ウィローモスなどのコケ植物
  • アヌビアス・ナナ
  • ミクロソリウムやボルビディス・ヒュディロッティなどのシダ類
  • ハイグロフィラ・ピンナティフィダ

上記以外もありますが、これらをなんとなく頭に入れておくだけでレイアウトにかなり活かせますよ!

それぞれの特徴を簡単にお話しします。

ウィローモスなどのコケ植物

活着する水草で最も代表的なものといえば、コケ植物のウィローモスではないでしょうか。

石や流木に活着させることで、ぐっとレイアウトに自然感が出ます。

ウィローモス自体育てやすく活着の難易度は低めなので、初めての活着におすすめですよ。

アヌビアス・ナナ

丈夫な水草として知られるアヌビアス・ナナの仲間も活着します。

どれくらい丈夫かというと、バケツに水とともに入れておけば保管できると言われるほど。

アヌビアス・ナナを小さくしたようなプチナナもレイアウトで使いやすく人気があります。

成長がとても遅いのが難点です。(飼育スタイルによっては逆にメリットかも!?)

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ミクロソリウムやボルビディス・ヒュディロッティなどのシダ類

シダ類は流木に根をつたわらせる様子が自然感たっぷりで、ネイチャーアクアリウムにも適した水草といえます。

ミクロソリウムの仲間は生命力が強く、活着も比較的簡単に行えます。

ボルビディス・ヒュディロッティは水草の中でも数少ない、「深い緑色」が特徴の美しい水草です。同種が繁茂した水槽は、うっそうとした森の中の光景にも似てどこか神秘的。

夏場の高水温には注意が必要です。

ハイグロフィラ・ピンナティフィダ

ハイグロフィラ・ピンナティフィダは有茎草ですが、石や流木に活着するという、面白い性質を持った水草です。葉の形や色が独特で、レイアウトに使う際はセンスが問われるところ。

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活着するまでの流れ

水草が対象物に活着するまでの流れは以下の通りです。

水草が成長過程で仮根を出す → 近くにある物に仮根が絡みつく → 成長する

ということは、水草のごく近くに活着させたいレイアウト素材があればいいということです。そのために糸やビニタイ、接着剤などを使って、活着が完了するまで固定しておきます。

水草の種類によって変わりますが、早くて1ヶ月程度で活着します。

もちろん、水草が健康に成長できるという環境は前提条件ですよ!

次の項では、水草を固定する方法をいくつかご紹介します。

活着の際に水草を固定する方法

活着できる水草にはいくつか種類があることはお分かりいただけだと思います。

でもそれぞれ、形が違いますね?どうやったら思い通りに活着させられるのでしょうか?

ここでは、水草を活着させる際によく使われる方法を解説します。

水草を固定する方法
  • 糸で巻く
  • ビニタイで固定する
  • 接着剤で接着する

ひとつずつ解説していきます。

糸で巻く

糸でぐるぐる巻きにして固定する方法です。ウィローモスの固定に最もよく使われます。

使う糸は木綿糸テグスがあり、それぞれ特徴をご紹介すると、

  • 木綿糸数ヶ月で自然に分解されて無くなるので回収する手間が省ける。活着が早い植物向き。
  • テグス:分解されないので、活着が遅い植物(南米ウィローモスなど)の固定に向く。最終的にテグスが隠れるような巻き方をする必要がある。

といった感じです。

少し上級者向けになりますが、水上で水草を固定する場合はウィローモスでくるんで、さらに糸で巻きます。そうすることでウィローモスが水分を汲み上げ、湿度を保つ役割を果たします。

糸で巻くのがおすすめの水草

ウィローモス、水上部分の水草

やり方は以下の記事で解説しています。

ビニタイで固定する

ビニタイで水草とレイアウト素材を一緒に縛って固定する方法です。

アヌビアス・ナナミクロソリウムボルビディスといった、茎が太くてしっかりしている水草に向きます。

活着した後のビニタイは、レイアウトを崩さないようにそっと外して回収します。回収が難しいと思われるときは、前もって水草の成長を予想し、目立たない場所にビニタイを巻くようにしましょう。

ビニタイは100均のものがコスパ最高です。

出典:ダイソーオンラインショップ

ADA製のものは高価ですが、茶色いので流木に巻いた時に目立ちにくくなります。

出典:ADA公式サイト
ビニタイで巻くのがおすすめの水草

アヌビアス・ナナ、ブセファランドラ、ボルビディス・ヒュディロッティ、ミクロソリウム、ハイグロフィラ・ピンナティフィダ(水中葉)

接着剤で接着する

アロンアルファのような瞬間接着剤で水草とレイアウト素材を固定する方法もあります。

工作の要領で接着していくので早くて簡単です。糸で巻くのが苦手という人は検討してみてください。

接着剤で固定するのがおすすめの水草

ウィローモス、ハイグロフィラ・ピンナティフィダ(水中葉)、ミクロソリウムの子株

ただしデメリットが目立つ方法なので、やってみたい人は以下の記事を先にお読みいただくことをおすすめします。

水草を活着させるときの注意点

水草を活着させるときは、以下のことに気をつけましょう。

活着するときに注意すべき点
  • 活着するまで水草を動かさない
  • 活着されるレイアウト素材は多孔質のものがおすすめ
  • 水流が無いと活着しづらい(水流というストレスを与えて活着を促す)
  • 水草に良い環境を整える

これらを意識することで、活着がスムーズにいきます。それぞれ解説しますね。

水草を動かさない

活着しようと頑張っている水草を動かさないことが大切です。活着が甘い状態で動かしてしまうと、せっかく絡みついた仮根が抜けてしまいます。

エビなどに動かされることもあるので、水草はしっかり固定しましょう。多少キツめに縛っても大丈夫です。

活着されるレイアウト素材は多孔質のものがおすすめ

仮根が絡みつきやすいように、活着されるレイアウト素材は多孔質なものを選びましょう。

多孔質とは、表面に細かい穴や窪みがある性質をいいます。

多孔質のものの方が根が絡みやすく、活着には有利です。

とはいえ、一見すると表面にくぼみが少ないような石でもちゃんと活着します。

あまりに表面がツルツルしたものは活着しにくい、くらいに覚えておいてください。

水流が無いと活着しづらい(水流というストレスを与えて活着を促す)

水流があるからこそ、自身が流されないようにと着生する性質を得ました。水流が無いと流されることがないため、自らを固定する必要も無くなります。

つまり、適度な水流がある方が活着が促されるということです。

活着させる部分の水流が弱い場合は、フィルターの水流の調整や、排水パイプの設置を見直してみてください。

水流をチェックしたいときは、5~6cmに切った糸をピンセットではさんで水中に入れると簡単にチェックできます。

水草に良い環境を整える

大前提として、水草を健康に飼育できる環境を整えておきましょう。水草育成に必要なのは、

  • 光【重要度★★★★★】
  • CO2【重要度★★★】
  • 栄養【重要度★】

です。これらのうち一つでも欠けると成長を阻害するので、全て揃えることをおすすめします。栄養はカリウムが不足しがちです。活着する水草は葉から栄養を吸収するので、液体肥料でカリウムを補うのも有効です。

そして水質は、弱酸性、軟水、水温26℃前後がベターです。これは水草によって変わりますが、今回ご紹介した水草はこの水質で問題なく育てられます。

まとめ|水草を活着させてレイアウトの幅を広げよう!

活着について詳しくご説明しました。活着とは何かがお分かりいただけたでしょうか?

まとめておきます。

活着とは、仮根を対象物の表面に根付かせてくっつくことでした。水流がある環境で、自身が流されないようにするためでしたね。

活着できる水草
  • ウィローモスなどのコケ植物
  • アヌビアス・ナナ
  • ミクロソリウムやボルビディス・ヒュディロッティなどのシダ類
  • ハイグロフィラ・ピンナティフィダ

活着させるためには、対象物のごく近くで水草を育てること→つまり固定すればいいということです。そのための方法として、

水草を固定する方法
  • 糸で巻く
  • ビニタイで固定する
  • 接着剤で接着する

が、あります。水草の種類に合わせて使い分けてください。

あとは、以下の点に注意しながら活着するまで待ちます。活着には早くても1ヶ月程度かかります。

活着するときに注意すべき点
  • 活着するまで水草を動かさない
  • 活着されるレイアウト素材は多孔質のものがおすすめ
  • 水流が無いと活着しづらい(水流というストレスを与えて活着を促す)
  • 水草に良い環境を整える

水草に良い環境を整えることは、いつでも念頭に置きたいところです。「うまく活着しないな」と思ったら、そもそも環境や水質に問題があったというケースもあります。せっかく巻いたのに活着しなかったら残念ですからね・・・。

今回お伝えしたことを意識すれば、水草の活着はうまくいくはずです。

活着を使いこなし、素晴らしいレイアウトにお役立てください!

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