大自然の一部を切り取ったような水槽。テレビや雑誌、またはなんとなく立ち寄ったショップに展示されている美しい水槽に見入ってしまったことはありませんか?流木や石が配置され、水草が生い茂り、伸びやかに魚たちが泳いでいる。そんな自然感たっぷりの水槽を「水草水槽」、もう少し新しい言葉では「ネイチャーアクアリウム」と言います。
メダカ水槽の砂利に金魚藻を植えて・・・これも水草水槽と言えますが、その金魚藻はおそらくすぐに枯れてしまうでしょう。水草水槽およびネイチャーアクアリウムでは、水草がしっかり元気に育つことがポイントです。
「えっ、水草って育てられるの!?」と驚かれるかもしれませんが、水草は環境が整えば成長し、枝分かれして密度の高い茂みになったり、流木を覆うようにその領域を拡大していく種類もあります。流木や石、さまざまな特色を持つ水草を自由に配置して、思い描いた水槽を作り上げるのが、水草水槽およびネイチャーアクアリウムです。
このブログでは、そんな水草水槽およびネイチャーアクアリウムの始め方、楽しみ方をご紹介しています!
(以下、「水草水槽およびネイチャーアクアリウム」をまとめて水草水槽と記述します)
キレイな水槽には憧れはあるものの、いざ始めるとなると「水草水槽はハードルが高そう」と思われがちです。
その理由に、
- 水草を枯らしてしまった経験がある
- 過去に飼っていた魚の水槽がコケだらけになった
- 自然感たっぷりの水槽は、技術やセンスが必要そう
といったことが挙げられるかと思います。
ですがこれらは心配ありません。なぜなら水草の成長に必要な事がわかれば、よほど難しい種類でもない限り誰でも育てることができます。そして水草が元気に成長することで、
ですので、水槽の景観はどんどん美しく見応えのあるものになっていきます!
水草が成長できる環境づくりは、適切なアクアリウム用品を揃えることから始まります。必要な物を見ていきましょう。
水草水槽を始めるイメージが少しずつ湧いてくると思いますし、おおまかな費用も掲載しているので、予算を考える場合にも参考にしてみてください。
水草水槽の始め方
水草水槽を始めるにあたって、大切なこと、必要な器具等をご紹介します!
水槽の設置場所を決める
まずは部屋を見渡し、どこに水槽を設置するかを考えます。
いくつか注意していただきたいのが、
- じっくり鑑賞できるか
- 水が跳ねることがあるので、電化製品や濡れて困る家具が近くにないか
- 壁に密着しないか
- コンセントの位置に無理がないか
- 陽の光が当たらない場所か
- エアコンの風が直接当たらないか
まだイメージ段階ですので、これらを頭に入れつつ読み進めてください。
水槽サイズを決める
設置場所を決めたら次に水槽の大きさを決めます。
水槽の大きさはいくつか種類があります。初めは下記のどれかから選ぶのがおすすめです!
種類 | 幅・奥行き・高さ(cm) | 参考価格 | 水容量(約) | 重量(ガラス水槽) | 備考 |
---|---|---|---|---|---|
60cm水槽 | 60×30×36 | 4,000〜10,000円 | 59.4L | 13.8kg | 最も一般的な規格。水質管理のしやすや、鑑賞性、器具の充実などから初心者にもオススメなサイズ。 |
45cm水槽 | 45×27×30 | 3,000〜8,000円 | 32.8L | 7.5kg | コンパクトながら小さすぎず存在感十分の大きさ。適合する器具(照明など)のバリエーションが少なめなのがデメリット |
30cmキューブ水槽 | 30×30×30 | 2,000〜6,000円 | 24.3L | 5.6kg | 立方体の水槽。正面だけでなく、側面や斜めから鑑賞することを考えてレイアウトすると面白い効果が得られる。 |
30cm水槽 | 30×18×24 | 2,000〜5,000円 | 11.3L | 3.5kg | とてもコンパクトで省スペースな水槽。水質が変化しやすく維持の難易度は高くなる。水草が成長するとすぐにスペースが無くなってしまう。 |
60cm規格の水槽が最も一般的で、初心者の人にもおすすめです。水量が多いほど、水質が変化が緩やかで、維持がしやすくなります。
小さいサイズでも適切に器具を揃えれば、水草育成はじゅうぶん可能です。
水槽台
水槽のサイズと設置場所が決まったら、水槽のサイズにあった水槽台を選びます。
お部屋の家具の色と揃えると統一感が出ます。
水槽の下に敷くマット
水槽台の上、水槽の下に敷きます。水槽全体の重量を分散し、亀裂や破損を防ぐために必要です。水槽を買うと付属していることがほとんどです。
照明器具
水草の成長に欠かせないのが光です。自然界の植物は太陽の光を使って光合成をし、成長します。近年ではアクアリウムの器具の進歩により、十分に水草が育成できる照明が発売されています。生き物の観賞を目的とした照明では水草の成長に必要な光量が得られないものもあります。水草水槽を始めるなら、水草育成に適した照明器具を選びましょう。
自動タイマー
必要ではないですが、あると便利なアイテムをご紹介します!
照明器具とコンセントの間に接続し、決まった時刻になると通電のオン・オフが切り替わるタイマーです。水草が健康的に育つためには、規則正しい日照時間のサイクルが効果的。魚の健康管理にも役立ちます。
毎日決まった時間に点灯と消灯を繰り返すのは大変なので、こういったアイテムはたいへん便利です。
濾過フィルター
水槽の水は、放っておくとどんどん悪くなってしまいます。魚のフンや餌の食べ残し、水草の枯葉などから有害物質が発生し蓄積していくためです。これら有害物質を濾過し、キレイな水にするのが濾過フィルターです。
ヒーター
観賞魚は「変温動物」といって自ら体温調整ができません。寒い季節や寒暖差のある環境では体に負担がかかります。水温は水草の成長にも影響し、水温が低すぎると成長が遅くなることがあります。ヒーターを使うことで観賞魚や水草が健康的に成長できる水温を保つことができます。
水温計
適切な水温になっているかチェックするために水温計を取り付けます。
夏場の水温の上がりすぎや、ヒーターの故障をいち早く知るために水温計を取り付けることをおすすめします。
CO2添加器具
CO2添加なんてあまり聞き慣れないかもしれません。ですが水草をキレイに成長させるためには重要なアイテムです。
水草は光合成をすることで成長します。光合成には、光・水・栄養・二酸化炭素(CO2)が必要です。これらのうちの一つでも欠けていると、水草は成長できません。
飼育水にはCO2が不足しているので、水草を健康的に育成するためにはCO2の添加が効果的です。
電磁弁
電磁弁とは、CO2の添加のタイミングを自動化するアイテムです。水草にも昼夜が関係し、光合成を行う昼間の時間帯にCO2を添加することが効率的に育成するポイントです。先ほどの自動タイマーと接続し、光の照射に合わせてCO2を添加します。
ここまでで水草水槽に必要な環境は整いましたが、水槽はまだ空っぽの状態です。
ここから先は水槽内のレイアウトをしていきます!
低床
低床とは、水槽の底に敷く材料のことです。砂利は一般的に良く知られていますが、水草水槽では水草を植えやすくするためにソイルというものを使うのが一般的です。
アクアリウムに用いる低床材のひとつで、土を粒状に焼き固めたもの。水草が根を張りやすく、成長に有効な栄養分を含むものもあります。また、水質を安定させる効果もあります。
水草が繁茂する水槽にしたい、水草による緑の絨毯を作りたい場合はソイルがオススメです。
水槽サイズ | 低床材を5cm厚にするために必要な量 |
---|---|
60×30×36 | 9L |
45×27×30 | 6L |
30×30×30 | 4.5L |
30×18×24 | 3L |
あると便利な道具■サンドフラッター
ソイルなどの低床を平にならすための道具です。幅が狭い方はレイアウトの入り組んだ場所の作業の際に便利です。無ければ三角定規などで代用できます。
流木・石などのレイアウト素材
自然感を出すために欠かせないのが流木や石などのレイアウト素材です。気に入ったカタチの素材を配置して、あなただけのレイアウトを作りましょう!
各種の特徴を簡単にご説明します。
流木そのものがカッコいいと、レイアウトを作るのが簡単になります。コケやシダ類を活着させて、より自然感を高める事ができます。うっそうとした雰囲気や、ジャングルっぽいレイアウトにも向きます。
存在感のある石は、それ一つでレイアウトの主役になります。主役となる石を引き立てるために、それよりも小さい石をいくつか配置するとバランスが良くなります。空間を活かした風景のような景観の表現に向いています。
配置した時の角度や見えている部分の質感で表情が変わります。どちらかというと中・上級者向け。
水草
レイアウトの骨格ができたら、水草を植栽していきます。水草にはたくさんの種類があり、どれを選んだらいいかわからない!という方のために、キレイで初心者でも育てやすい水草を厳選しました。
下記記事で掲載していますので、よかったら参考にしてみてください。
植栽に必要な道具■ピンセット
水草を指で植えようとしても、指が太いために上手く植えられません。水草を植える時は、先が細く全体に長いピンセットを使います。今後も使うので、ちょっと良い道具を選ぶのもいいですね。
水換えに必要な道具
水草の植栽も完了したら、いよいよ水を注ぎ入れます。しかし水道水をそのまま入れてしまうと、水道水に含まれる塩素によって魚や水草、バクテリアにダメージを与えてしまいます。この塩素を中和し、無害化するための薬品を、カルキ抜きと言います。
今はまだ魚はいませんが、初めての注水時からカルキ抜きを施した水を入れるようにします。そのためにカルキ抜きと、水をくみ置くバケツが必要です。
バケツは水槽サイズに関わらず、8L〜15L程度の容量の物を選ぶと今後の水換え作業が効率よくできます。
お疲れ様です。ひとまず完成です。
水を満たしたらフィルターを作動させ、ヒーターや照明の電源を入れます。フィルターのモーター音と、かすかな水のせせらぎが聞こえましたか?
お疲れ様です!水草水槽が動き始めました!
コケひとつない、キレイな水槽・・・ですがまだ魚も居ないし水草もどこかひ弱で、ちょっと寂しいですね。
これから微生物が増殖を初め、水草は根を張り光を求めて成長していきます。そして水質が安定してきたことを確認したら、魚を導入します。レイアウトにぴったりな魚を考えながら、焦らずに水槽の様子を見守りましょう。
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